[ カテゴリー » 日 記 ]

飛上るようにして

 飛上るようにして、やがてお幾が捧げ出した灯《ともしび》の影に、と見れば、予言者はくるりと背後《うしろ》向になって、耳を傾けて、真鍮《しんちゅう》の耳掻を悠々とつかいながら、判事の言《ことば》を聞澄しているかのごとくであった。「安心しな、姉さん、心に罪があっても大事はない。私が許す、小山由之助だ、...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 02:06 pm  

異様なる持主

「堪忍をするから謝罪《あやま》れの。どこをどう狂い廻っても、私《わし》が目から隠れる穴はないぞの。無くなった金子《かね》は今日出たが、汝《うぬ》が罪は消えぬのじゃ。女《むすめ》、さあ、私《わし》を頼め、足を頂け、こりゃこの杖に縋《すが》れ。」と蚊の呻《うめ》くようなる声して、ぶつぶついうその音調は、...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 02:05 pm  

旦那様、お米さん

       十八

「おお、あれは。」「お米でございますよ、あれ、旦那様、お米さん、」と判事にいうやら、女《むすめ》を呼ぶやら。お幾は段を踏辷《ふみすべ》らすようにしてずるりと下りて店さきへ駆け出すと、欄干《てすり》の下を駆け抜けて壁について今、婆さんの前へ衝《つ》と来たお米、素足のままで、細帯...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 02:04 pm  

T: Y: ALL: Online:
Created in 0.0165 sec.

http://nespo.info/