一人で飲むという奴

「吉里さん、いかがです。一杯《ひとつ》受けてもらいたいものですな。こうして飲んでいたッて――一人で飲むという奴は、どうも淋《さみ》しくッて、何だか飲んでるような気がしなくッていけないものだ。一杯《ひとつ》受けてもらいたいものですな。ははははは。私なんざア流連《いつづけ》をする玉でないんだから、もうじ...

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豆腐の煮える音

「そうじゃ。いずれまた今晩でも出直して来るんじゃ」「よござんすよ、お前さんなんざアどうせ不実だから」「何じゃ。不実じゃ」「名山さん、金盥《かなだらい》が明いたら貸しておくれよ」と、今客を案内して来た小式部という花魁が言ッた。「小式部さん、これを上げよう」と、初緑は金盥の一個《ひとつ》を小式部...

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吉里は返辞をしない

「それでよござんすね。じゃア、花魁お連れ申して下さい」 吉里は何も言わず、ついと立ッて廊下へ出た。善吉も座敷着を被《はお》ッたまま吉里の後《あと》から室を出た。「花魁、お手拭は」と、お熊は吉里へ声をかけた。 吉里は返辞をしない。はや二三間あちらへ行ッていた。「私におくれ」と、善吉は戻ッて手拭...

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